妻が出産してから数週間後、「腰が痛くて、歩くのがしんどい」と言い始めました。
「そろそろ骨盤矯正に行ってもいい?」と聞かれたとき、私はすぐに「まだ早い」と答えました。産後の骨盤がどういう状態にあるかを知っている分、焦って動かすことのリスクが頭に浮かんだからです。
整骨院で働いていると、産後の患者さんから「いつから骨盤矯正を始めていいですか?」という質問を何度もいただきます。タイミングを間違えると逆効果になることがあるので、今回は時期の目安を丁寧にお伝えします。
出産に向けて、体は自然にある準備をします。
妊娠後期から分娩にかけて「リラキシン」というホルモンが分泌されます。このホルモンの役割は、骨盤の靭帯をやわらかくして赤ちゃんが産道を通れるようにすること。骨盤がある程度広がらないと、赤ちゃんは出てこられないのです。
問題はその後です。
靭帯がやわらかくなった状態は、出産後もしばらく続きます。この時期は骨盤が「ゆるんだまま」なので、体に合わない動きや姿勢を続けると、正しくない位置で固まってしまうことがあります。
産後の骨盤の乱れは、腰痛・恥骨痛・股関節の違和感・尿漏れ・下半身のむくみなど、さまざまな不調につながります。
産後6週間(約1ヶ月半)は「産褥期(さんじょくき)」と呼ばれ、体が出産のダメージから回復する大切な時期です。この時期に骨盤に強い刺激を加えるのは体に負担をかけることになります。
産後1ヶ月健診で「回復が順調」と確認できたら、そこから少しずつケアを始めるのが安全な目安です。本格的な矯正は産後6〜8週を目安にするとよいでしょう。
帝王切開は開腹手術です。子宮だけでなく、お腹の筋肉や皮膚も切開しているため、内部の回復に時間がかかります。術後の創部が安定するまでの期間を考えると、骨盤ケアの開始は産後3ヶ月以降が安全です。
傷の状態は個人差があるため、産後健診で医師に確認してから始めることをおすすめします。
産後1〜2ヶ月の時期に避けてほしいことをまとめます。
「安静にしすぎるのも良くない」という声もありますが、少なくとも産後1ヶ月は無理な動作を控えるのが基本です。
本格的な矯正を始める前でも、自宅でできるケアはあります。
骨盤底筋は骨盤の底を支える筋肉群で、出産で緩みやすい場所です。
産後2〜3日から、体に無理のない範囲で始められます。
産後の腰痛を悪化させないために、寝るときは横向き寝が骨盤への負担が少なくおすすめです。
両膝の間に折りたたんだタオルや抱き枕を挟むと、骨盤が左右に傾くのを防げます。妻も産後しばらくはこれを実践していました。
産後すぐから使える骨盤ベルトは、ゆるんだ骨盤を外側から支える補助になります。ただし、締めすぎると血流が悪くなるため、「程よく支えている感覚」を目安に。帝王切開後は傷口にあたる場所への使用に注意してください。
このような場合は、産後ケアを専門とする整骨院・鍼灸院への相談を検討してください。時期の目安を守ったうえで、適切な施術を受けることが大切です。
妻の場合は産後2ヶ月を過ぎてから少しずつ施術を始め、腰の重さと股関節の違和感が3〜4回の施術でかなり楽になりました。「もっと早く来ればよかった」とも言っていましたが、時期を守ったことで回復がスムーズだったと私は思っています。
産後の体は「ゆっくり、でも確実に」回復します。焦らず、自分の体と向き合ってください。
整骨院勤務15年・鍼灸師パパより
「骨盤矯正に行った時期」「自宅でどんなケアをしたか」など、体験談をコメントで聞かせてもらえると参考になります。